便秘外来

便秘とは

便秘とは便秘は、満足できる排便がない状態で、毎日排便があっても少量しか出ずに残便感がある場合も含まれます。また、長く・強くいきまないと排便できない、薬剤などを使わないと排便できない、便秘と下痢を繰り返す、腹痛やお腹の張りがあるなども便秘外来の治療対象に含まれます。便秘はまた、大腸がんなど疾患の症状として現れている可能性もあります。便通異常が続くようでしたら、便秘外来を受診して医師による検査と診断を受けるようおすすめします。

このような症状ありませんか?

  • 便秘と下痢を繰り返す
  • 強くいきんでも少量しか便が出ない
  • 排便に時間がかかる
  • 薬を飲まないと便が出ない
  • 2週間以上、満足できる排便がない
  • 血便や黒っぽい便が出る
  • お腹が張る
  • 腹痛を起こしやすい
  • 排便後も便が残っているようでスッキリしない

便秘の原因

便秘の原因として、一般的によく知られているのは運動・食物繊維・水分の不足、ストレス、生活習慣、生活環境の変化などです。また、腸内細菌叢(乳酸菌など口内細菌のバランス/腸内フローラ)も便通異常と大きく関わっているとされています。ただし、便秘外来でお話をうかがっていると排便習慣の乱れが大きな原因となっているケースがとても多くなっています。便意が起こった時が1番スムーズに排便できるタイミングですが、便意を我慢することが続くと次第に便意を感じにくくなり、それでスムーズな排便ができなくなることにつながります。自然な便意は、朝食をとってしばらくして起こってきます。少し早起きしてこのタイミングを逃さずに排便することが正しい排便習慣につながります。

便秘の種類

器質性便秘 疾患などを原因として腸に便の通過障害が起ったことによる便秘です。大腸がん、潰瘍性大腸炎、内臓の癒着による狭窄、腸捻転などが原因となります。
機能性便秘 大腸の機能低下などによって起こる便秘で、治療法が異なるいくつかのタイプに分けられます。
単純性一過性便秘 旅行や引っ越しなといった環境の変化をきっかけに起こる一過性の便秘です。すぐに解消して再発がないようでしたらあまり心配する必要はありません。
痙攣性便秘 腸の働きをコントロールしている自律神経が乱れることで、大腸の一部が痙攣性の収縮を起こして便秘になります。下剤の服用は逆効果ですから、ご注意ください。
弛緩性便秘 蠕動運動が弱くなって起こる便秘です。蠕動運動は加齢や運動不足で低下します。便意が弱くなり、ガスが増えてお腹が張り、ウサギの糞のようなコロコロした硬くて小さい便が出ます。
直腸性便秘 日常的な便意の我慢、下剤や浣腸を常用するなどによって、直腸まで便が来ても便意を感じなくなっています。排便後の残便感も起こりやすくなります。
その他の便秘 腸以外に起こった疾患の症状として便秘が現れる症候性便秘や、服用している薬の影響で現れる薬剤性便秘などがあります。便秘を起こしやすい疾患には、甲状腺機能低下症、内分泌代謝疾患、神経疾患などがあります。

便秘の治療

便秘の治療便秘の症状は薬剤で解消できますが、根本的な治療や再発防止には食生活や運動といった生活習慣の改善が不可欠です。これをベースにタイプや症状に合わせた薬剤や漢方薬を使って不快な症状を和らげ、腸が正常な働きを取り戻すまでじっくり治療していきます。

生活習慣の改善

規則正しい生活、充分な睡眠と休息、ストレスの解消、そして便意が起こったらすぐにトイレに行くことが重要です。特に、早起きして朝食を食べ、便意がなくてもトイレに行く習慣をつけることで、蠕動運動機能が正常化して自然な便意が起きるようになっていきます。ただし、いきみ過ぎると痔になるリスクがありますので、いきむのは5分以内にしましょう。
腹部を温める、入浴時にはバスタブに浸かって芯まで温まることも血流を改善させるため便意解消に効果が見込めます。腹部のマッサージも有効ですが、必ず医師からやり方を指導してもらってから行うようにしてください。

食事療法

便秘解消には食物繊維だけでなく、水分もたっぷり摂取することが不可欠です。バランスがとれた健康的な食事メニューを心がけますが、脂肪が少なすぎると腸が刺激されずに便秘が解消されにくいので注意してください。

運動療法

運動不足になると筋力が衰えて血流が悪化し、胃腸の働きも弱まります。ウォーキングなどでも蠕動運動を促進できますので、軽い運動を継続して行うようにしてください。また腹筋などの筋肉を鍛えるのも効果が見込めます。

薬物療法

下剤や浣腸を常用することでかえって悪化させているケースがよくあります。市販薬に頼らず、必ず専門医を受診して適切な処方を受けてください。便秘外来では症状や状態をしっかり見極めて、さまざまな薬剤や漢方薬から処方を行い、経過によってきめ細かく処方を変えることで適切な薬物療法を行っています。

治療の流れ

問診

排便の状態や頻度、経過、生活習慣、既往症や服用しているお薬などについて問診でくわしくうかがっていきます。その後、触診や検査によって便秘の原因や腸の機能、便秘のタイプを診断し、適切な治療についてご相談していきます。

検査

腹部の聴診・触診、腹部X線検査で、便秘の状態を把握します。必要がある場合には、血液検査や大腸内視鏡検査を行います。

大腸内視鏡検査

大腸がんやポリープが便の通過を邪魔していないかを確認します。腸粘膜の状態や大腸の長さなども確認します。